令和3年度 1学期終業式

公開日 2021年07月21日(Wed)

 21日(水),1学期終業式は体育館および武道館の分散型リモート形式で実施されました。

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 校長式辞です。

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 暑い夏がやってきました。今日は,3つのことを話します。

 一つ目は,生徒会を大事にしてほしいと言うことです。

 生徒会役員は,伊集院高校の生徒の皆さんの代表です。今日は,退任式と認証式がありました。これまでの生徒会役員の皆さん本当にありがとうございました。そして,新しい生徒会役員の皆さん,よろしくお願いします。学校が,持続可能であるためには,生徒の皆さんの考えや意見を取り入れる必要があります。しかも,その意見は多様です。それをまとめるのは生徒の代表である生徒会です。先日行われた,体育祭のあいさつは,私のあいさつより、生徒会長の話のほうが立派でした。その時,梅田小波会長のあいさつを聞きながら,生徒の皆さんは,ふさわしい人を選んでいることを誇りに思いました。次の生徒会も,有馬快会長を中心に,この伊集院高校を引っ張ってほしいと思います。

 二つ目は「一生懸命とその上の本気の差は大きい」と言うことです。

 僕が高校時代の夏休みで,思い出すのは,英語の単語帳に書いてあった,正確な言い回しは忘れましたが,「この夏に海に泳ぎに行くのか。勉強をするのか。どっちが大事か。」と問われ,直感的に,海に泳ぎに行く方でしょうと思ったことです。実際は,夏課外に出ながら,海やプールに泳ぎに行ったりして夏を過ごしました。僕の高校時代は,振り返ってみれば,本気だったのは「東京の大学に行く」ということだけでした。それは実現できました。本気で思うことは実現します。でも,大学行って周りの人の話を聞くと,この大学のこの先生に教えてもらいたくて来た,将来商社に入るためにこの学部にきたという人が多く,僕は,一生懸命ではありましたが,本気度には改善の余地があったと正直思いました。この前の,鹿児島ユナイテッドのカターレ富山戦のことです。最後の数分で,同点ゴールを入れられて,2対2の引き分けでした。終わった瞬間,「一生懸命とその上の本気」の差を感じました。押していただけに残念でした。同じカテゴリーで着く差は何か。一生懸命の中のもう一段上です。90分の中の最初のコンタクトの瞬間、1点リードの残り5分です。一生懸命なのはわかりますが,勝ち点3のために,「その上」の選択もあったかもしれません。その差は,幅は10センチ,高低差はメートル単位です。意識の持ち方が大切です。

 3年生の皆さん,これまで一生懸命勉強や部活動に取り組んできました。これからの時期は,「もう一段上」が必要な時期です。一生懸命でも大変ですが,「もう一段上」は,さらに大変です。しかし,そんな機会は,人生の中で何回もないと思います。「もう一段上」とは,例えば,あるアナウンサーが,「私は,この局に合格するために,恥ずかしいくらい勉強した」といいました。そんな感じです。僕も恥ずかしいくらい勉強したことがあります。大学のある夏休みの前に,先生から200ページくらいの英語の論文を一冊渡され,休み中に読んで訳しなさいと宿題を与えられました。その頃,アメリカの環境訴訟の勉強をしていたので断ることもできず,あの夏は,遊ばずに必死に読みました。「もう一段上」の経験をすることができました。「その上」には、もう一つの面があります。それは、メタ認知のメタという面です。メタとは、もうひとりの自分で自分を見る、もう一段上から物事を見るということです。今の勉強・テスト問題で大事なのは、メタの部分です。アクティブ・ラーニングも要するに、メタをどう働かせるかということです。数学でいえば、公式を当てはめる問題と、その公式の証明過程の問題の差です。この公式はなぜこうなっているのかと考えることです。また,授業が終わった後で,要するに今日の授業は何だったのかと考えることです。そんなに難しいことではありませんが,習慣づける必要があります。

 最近、よく授業をみています。国語の羅生門の授業では、メタを働かせた発表を聞くことができました。世界史では,ラティフンディアのしくみをまとめるところでした。英語の授業では、メタ認知を活用した英文の読みが行われていました。英語の授業では,自分の高校時代を思い出しました。正直にいうと、英語の先生が言っていることの意味がわかったのは高校3年の秋でした。メタの勉強をするには先生が言っていることの意味がわからなければなりません。僕の場合は,勉強不足,具体的には語彙力不足のため,先生が言っていることの意味がわからなかったのだと思います。この夏に時間を見つけて、教科書や600選の単語を覚えてはどうでしょうか。きっと,秋には先生が言っていることの意味がわかり始めるはずです。少しでも,効果はその何倍かあります。騙されたと思って試してください。

 そして,3つめで一番大切なことです。「自分,自分の命を大切にしてください。」と言うことです。

 私を含め,みんなかけがえのない存在です。くじけそうなときもあります。人の悪いところしか見えなくなることもあります。そんなときは,自分がこれまでしてきた成果を意地でも探しだして書き留めて,自分を高めるため事に集中してください。気になることがあれば,誰かに相談してください。また,SNSなどの無責任な拡散はだめですが,自分の思いを世の中で認められたかたちに変換して表現することもできます。新しい部活動を始める,イベントに参加してみる,短歌を作る,歌を作る,絵を描く,新しい趣味を始める,手紙を書いてみる。いろいろあります。
 何かをしようとすると,周りの人との違いが当然生まれます。しかし,違いが悪い感情になりそうなときは,注意が必要です。そんなときにも,優先しないとならないのは,自分を高めることです。もやもやしたときは,英語の単語を覚えてください。また,さっき言った、「その上」の経験,「その上」から見る試みをしてください。自分をもうひとりの自分で見てください。周りの人のこととか,いやなこととかは気にならなくなり,そして,夏が終わる頃、その先が見えてきます。かけがえのない存在である自分を大切にしてください。

  今日は,

 「生徒会を大事にしてほしい」

 「一生懸命とその上の本気の差は大きい」

 「自分,自分の命を大切にしてください」

という,3つのことを話しました。

 暑い夏が続きます。課外,部活動もあります。夏を越えて,9月の始業式でまた,私の話を聞いてください。楽しみにしています。以上です。