令和3年度 3学期始業式【進路講話】

公開日 2022年01月11日(Tue)

 続いて,進路講話全文です。

DSC08689

【進路講話】

 おはようございます。進路指導部中村です。令和4年を迎えるにあたって皆さんにお話しします。

 元日の新聞各社の社説を読んでみると,日本の賃金がこの30年間ほとんど上がっていないことから「賃金引き上げを検討すべき」とか,RCEP(アールセップ)といわれる巨大な経済連携協定がスタートすることから「日本経済の国際競争力を高めるべき」とか,「コロナ後の経済復調を期すべき」等の論調が目立ちました。確かに日本の平均年収の地位は次第に下がり世界の中では中くらいになりつつありますし,人口減少で国内市場は縮小を続けています。もはや自動車や電化製品を大量生産する時代ではなく,工業製品にせよ農産品にせよ付加価値の高い商品を海外へ提供しなければ日本は生き残っていけないでしょう。つまり少量生産したものを顔の見える相手に売る,というスタイルが増えていくと思います。そういう意味では,語学力をはじめ国際感覚を身につけることやデジタルの能力を磨くことは今後不可欠なものでしょう。

 さらに昨年暮れには大企業の社長が「45歳定年制」について発言し,大きな反響を呼びました。その多くは早期退職を強要するとして批判的なものでしたが,社長の真意は学校を卒業後,約50年働く若い人たちに対して45歳以降を社会人人生の後半と位置づけて,「学び直し」「再スタート」を考えてほしいということなのです。皆さんにとっては将来に不安を感じるかもしれませんが,これからの世の中はそういうものだと思いますし,「学び直し」の機会を持つことは大事だと思います。

 話は変わりますが,皆さん伊集院高校生の「良いところ」はどんなところでしょうか?私が7年間この学校に勤めて思うのは,「真面目さ・律儀さ」や「他者への思いやりや協調性」ではないでしょうか。地域の方々も「伊集院高校生らしさ」のイメージを持っていて,この「らしさ」はスクールアイデンティティといわれるものです。どんな学校で学び,どんな先生や友人に出会うかによって,その人の人間性は変わっていきます。学力が学ぶ人の意欲次第で,どこでもいつでも身につけることができるのに対して,スクールアイデンティティによって培われる人間性と人との出会いは,その時限りの貴重なものです。

 進路指導部の話として学力向上を話題にすることがしょっちゅうですが,今日皆さんに伝えたいのは,これから大きく変わっていく世の中において「人と関わる能力」が学力以上に大切だということです。先に述べたように今後ひとつの職業を貫く人,学び直して職業を変わる人さまざまだと思いますが,いずれにしても「人と関わる能力」そして昨年2年生にお話しした「学び続ける姿勢」が鍵になることを強調したいと思います。

 3年生の皆さんは共通テストが今週土・日に迫りました。コロナウイルスの感染再拡大が明らかになっています。体調管理に万全を期し本番に臨んでください。1,2年生の皆さんは実力考査,進研模試そして今月は8時から朝自習となります。自ら課題に取り組み「自走」できる生徒となりましょう。

 令和4年が皆さんにとって飛躍の年となることを期待しています。

 以上で進路指導部の話を終わります。